「日本人妻を返して!北朝鮮帰還の日本人妻からの手紙と家族の悲願」を読ん

この本の初版発行日は1979年10月4日。今から40年近く前に発行されたこの本は、今となっては入手が困難になっている。

ネットの古本屋で定価の倍近くの値段で売っていたのを確認していたが、少し前に見たら売り切れになっていた。

幸いなことに私は、知人からこの本を借りて読むことができた。

北朝鮮への事業が始まってから60周年の年。始まった当時は北朝鮮を『地上の楽園 』 と謳われた。当時、今でこそ信じる人はいないこの「虚言 」 を信じて、北に渡った人たちは9万3千人以上。そのうちの8割は、最初の2年間に集中しているという。この9万3千余人のうち、 日本人妻や保護する子女といった 日本国籍を有する人たちが 少なくとも6,839人いたという。

北朝鮮を籠城者の地上の楽園と報じる アカハタ 1961年8月4日

そういった日本人妻の中には、日本にいる親兄弟に手紙で北朝鮮の状況を伝える人も多くいた。この本は、その手紙の内容を伝える極めて貴重な書簡集だ。

もちろん、日本人妻達は、つぶさに生活の状況を伝えることはできない。手紙は検閲もあるだろうから、体制批判などできない。しかしながらいろんな工夫を凝らして、状況を伝えようとしているのがわかる。

この本の発行者は、1974年に発足した「日本人妻自由往来実現運動の会」である。 発足後、人道主義に基づいて、北朝鮮の日本人妻の安否調査及び里帰り実現がなるように 歎願運動を展開してきた団体だ。1974年といえば、第一陣が北に送られてから、すでに15年ほどたったころだ。日本人の多くは音信不通になっており、行方がわからなくなっていた人も多かった。北への帰国者の生活の困窮ぶりが手紙などがわかってくるようになり、日本人妻からの悲痛な里帰りを願う思いも手紙にはしたためられていた。

3~4年したら里帰りができると信じて北に渡った人たちだ。10年以上もたって、誰一人として里帰りをした人はいなかったのである。

1961年、北朝鮮に渡って1年ほどになる日本人妻、陸川文子さんから自転車、石けん、足袋、運動靴、安い布、ミシンの針、黒い糸、ハーモニカ、ミルクなどの物資を送ってほしいという手紙が届く。当時の日本であれば、簡単に手に入るものばかりではあった。

この陸川文子さん、不運にも北に渡って4年8ヵ月後、7人の子供を残し夫が亡くなる。

またその後、一家の困窮ぶりをうかがわせる悲惨な手紙が何度も来る。北に渡って4年10か月後に届いた手紙には、「帰国した時のままの服で生きております 」 という手紙が届く。夫を亡くしながらも、健気に必死に亡き夫の残した子供たちを懸命に育てながらも、その後何度も物資を要求する哀切極まりない手紙を送っている。荷物が届くことを待ち望みながらも、どんどんと病気にむしばまれ、心も消耗していくのが感じられる。

日本からもこの文子さんに手紙を送っているようなのだが、なぜか、文子さんのもとには届かない。日本の家族から返事が来ない中、文子さんは、日本の家族に手紙を書く際に必要な封筒代も、ただでさえ乏しい食費を切り詰めながら工面し、せっせと手紙を書いているのだ。

他の帰国者に荷物が届けば、なぜ自分のところには来ないのだろうという寂しい気持ちも吐露していた。それだけ、困窮しているということがよくわかる。

「羽がないのが残念です。 」

「ツバメだったら、海を越えていけるのに・・・

鳥になれないのが残念です。

と綴られている。どれだけ、日本が恋しかっただろうか?
涙なくしては読めない。

ちなみに、この文子さんの言葉は、後の1985年公開された 北朝鮮に渡った日本人妻をテーマにした映画のタイトル「鳥よ翼をかして」で用いられている。

ところで、この文子さんの手紙には合点のいかないことも書かれていた。

1975年2月に書かれた手紙には
「 立派な金日成元帥のおかげで、農業も機械化して、世界一の大豊作でした」と金日成を賛美し、「憎いアメリカ帝国主義や、日本の反動政府のため、人民が苦労している」とアメリカと、翼があったら飛んで帰りたいくらい恋しい日本のことをこき下ろしているのである。

さらには「朝鮮では、私の様な病気の人にも、毎日医者が来て、注射をしたり、よく見てくれます。日本にいたらとっくの昔に死んでいたでしょう。」

と手紙には書かれているが、この手紙を書いた前年には、文子さんが日本の家族に、病気のために死を覚悟しながら手紙を書いてますという手紙を送り、クスリを送ってほしいとも書いているのである。

この不可解な文章を読みながらも、何とも言えないやるせなさを感じた。

地上の地獄ともいえる北の地で、日本の地を踏むこともなく、望郷の念に駆られながら亡くなった日本人妻の方々のことを考えると心が痛い。

一日も早く北朝鮮の独裁体制が崩壊し、独裁者の奴隷と化している北朝鮮の人々が解放され、日本人妻やその縁者が日本の地を踏むことができるようにと祈るばかりだ。

 

 

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